Live Review 2017年9月22日 Bristol THEKLA

9月22日 Bristol THEKLA(text:sakura)

9月21日のLondon編から続き 疲れを引きずりつつ午前の列車でBristolに移動。晴天。車窓の景色にちょっとだけ期待していたのだけれど、針葉樹が少ないだけで北海道とほぼ同じ。北海道に観光に来る人が、北海道を外国みたいな景色というのはこの事かと、はるばる英国で知る鈍感さ。
歴史のありそうなこじんまりした駅、古い教会。Bristolは昔からある大学と教会の街という趣でとても気にいった。どこを歩いても楽しい。駅からホテルに向かう途中少しだけ遠回りして本日の会場を下見。予想はしていたけど、小さい!フェリーじゃなく大きめのボートという感じ。

この日のPaulの登場は8時という事だったので、7時過ぎに会場入り。昨日よりは少しましな写真が撮りたいし、Paulの声もちゃんと聞きたい。それに実はドラムのJonをよく見てみたかった。いつもニコニコして人の良さそうなあのドラマー、たまに自撮りの動画をアップしたりしているのだけれど、やはりこの目でライブを見たい。ドラムは見たままに音が出るので素人にもよく分かる。ファンの間では前からずいぶん評判の良いドラマーだし。

会場に入ってみると本当に小さくて、かなり弱気になる。笑ってしまうくらい小さなステージ。客席との間にもフェンスも何もなし。これどうするの?!こっちからも良く見えるけど、ステージから客席側も丸見え!最前列のファンはステージ上に荷物や上着を置いてるぐらい。ここに本当にPaulが出てくるの?!

ステージに向かって左側にはキャサリンが居て機材もあるので右側の前の方へ。最前列に近い場所だけど、ステージ上で今日も熱唱してるオープニングアクトのSol Croftと私の間には背の高い男性が居て、その人の肩越しにステージを見る形。ナイスポジション!だけど、それでも膝が震えるくらいステージに近い。2、3メートル先で歌ってるイメージ。この日ももちろん中央の真ん中には安定のあのファンが陣取っていて何だかホッとする。彼もまた今日ロンドンからブリストルに移動してホテルにチェックインして会場に来て…仲間だ仲間!(一方的に)

いよいよSol Croftが終わって8時が近づく。でもスタッフが出たり入ったり…機材がトラブってるのか、なかなか調整が終わらない。20分ほど押し。後にステージ上でPaulが話していたところによると、どうやら何らかの事情でPaulのギターが届かず、急遽Sol Croftのを借りたらしい。

というわけでメンバーが登場。超近いーーーーー!

何故だかBristolではCatherineが最初からニコニコ、Paulも赤ワインを続けて2杯がぶ飲みで上機嫌(Paulは一貫してずっと上機嫌でしたけど)。昨日と同じくBサイドからと紹介してスタート。勢いのある曲から始めるこの感じ、もしかしたらEstronsの後だと想定してこのセトリにしたのかなぁなどとぼんやり考える。

で、やっとまともに聴けたPaulの声…私の拙いボキャブラリーではなんと言っていいか分からない。分からないけど、やっぱり神だか宇宙だか自然だか何か人知を超えたものに祝福された能力というのがこの世には何かしらあって、その能力のために幸福になる人もいれば苦しむ人も居るのだと改めて思うというか、本当にとんでもなく素晴らしい声で、だけどこの人はのど飴をガリガリ食べながら、ワインをガブガブ、タバコを(自粛)、あーもう本当になんてもったいない事を!!!!しかもただの歌い手ではない。曲書いて歌詞書いてプロデュースもして全部自分でやってるのだ。14年ぶりに!シビれるね本当に!!

だけど私の中での本当の衝撃はライブ後半だった。ソロの中ではずっとEP2枚のタイトルトラックが好きで毎日聞いてたし、SpookyActionの中では、発売の数ヶ月前にInstagramで一部分だけ公開されたFeel Like I wanna Stay、シングルになったThings People Wantが大好き、あとアルバムを通しで何回か聞いた後には何となくGrey Houseが重要な曲になるのかな?と思ってた。(なのでシングルカットされて7インチが出ると聞いて嬉しかった。)

だけど私は何にも分かっちゃいなかったよ。この日聞いたFriends Make the Worst Enemiesからアンコールの最後のDon’t Poke the Bearまでの流れと言ったら!正直Mansunの曲は要らなかったんじゃないかと思ってしまった。去年の春、Wide Open Spaceを一回聞いただけでPaul沼にハマってしまった私が言うのだからかなり大変な事だ。Mansunの曲は当然ファン大喜びだし盛り上がるので、Paulは大半みんなに歌わせて盛り上げさせてた(と、思う。しかもPaulほとんど昔のままの歌い方と声で歌えてた。流石!)。

けどねーやっぱりGrey HouseとTrousersとPork the Bearは違う。全然違う。スタジオで録音されたものとも全然違う。地を這うグルーヴ。ナチュラルに跳ねるリズム。心臓を鷲掴みにするライブ感。SIX時代にギター取り上げられて変なダンス踊らされてた、リズム感全然なさそうなPaulはなんだったの?!無茶苦茶カッコいい!

片眉を上げてちょっと高音辛そうな表情で歌うのは多分昔のまま。ギターはMansun時代よりずいぶん高いところで待ってて、iPadをスタンドで立てて歌詞を見ながら、緊張した感じは全然見せず(あんな小さな会場、昔を思えば余裕なんだろうな)余裕綽々でファンを煽る煽る。Disgustingを皮切りに、Mansunの曲は当然全部一緒に歌えって言われるし、Trousersの「No No No」のところはリアクション求められるので、みんな来日ライブに備えて練習するように!!
この日はワインもガブガブ。ロンドンではずいぶん控えてたんだね。多分4〜5杯かな?ご愛用ののど飴を何個か口に放り込んではそのまま歌うので、口から飛び出してくるんじゃないかとハラハラしながら見ていたけど、結局一度も飛び出さず。(翌日同じのど飴Birminghamの薬局で二箱買ってきた!)写真と違って、実物のオーラは凄い!やっぱりPaulはフロントマンだ!!!

メンバーは踊るわけでもなく淡々と、淡々と演奏してる。キャサリンはそこに立ってるだけで流石に存在感とオーラがかなり前のめり。でもほとんどMCでも言葉を発する事なく、ニコニコしながらサポートに回ってる。Jonは見た目もたついてるように見えるのに出てくる音はノリノリ。このドラマーのことはすっかりファンになってしまった。正確なだけでなくグルーヴ感もあるし多分テクニックもある。今のPaulの音作りを支えてると言っても過言ではないかも。Jonがいるからこれも出来るだろう、って感じで。打ち込みだと思ってたような部分をちゃんと再現してるのには驚かされる。Benもまるでベーシストのように仁王立ちなのにギターぐおんぐおんいってる。Beauもキャサリンの後ろで淡々と。サポートメンバーとはいえ、みんな控えめすぎるんじゃないだろうか。演奏に必死なのか、それとも初ツアーのPaulにものすごく気を使ってるのかな?

アルバム発売前に自分はSteven WilsonとNoel Gallagherの間のミッシングリンクだってインタビューで答えてたけど違う気がする。こういう感じなの他にやってる人居るのかな?(全然分かんないので誰か教えて!)もうマンサンっぽい曲とかマンサンの曲とかやらなくていいからこの路線でいって欲しい(暴言)!というかこの路線でいってくださいお願いしますPaul社長!!!大興奮!!

あれほど英国行く前にみんなにPaulに会って来いと言われ、「1番後ろで腕組んで見てくるだけ」と頑なにそれを拒んでいたのはずなのに、気づいたら前にいたはずの背の高い人の隣にいて(つまり最前列)最後の曲の最後にステージの前の方に出てきてみんなに手を振るPaulに手を出して握手をしてもらう始末!(マジ!)温かくてちょっと湿っててふわふわの手。皆さん私ついにPaulに接触しましたよ!

本当に英国まで来てよかった。スタジオアルバムにはスタジオアルバムの、そしてライブをやるにはライブをやる理由がある。アルバムの作り込まれた音は、音源として究極的に繊細な作りの美しすぎる仕上がり。Paul Draperという人は天才でありながら、音楽に関してはとてもリアリストで(そこも好きなところ)、やる意味のない事はしない人なのだ。実際「Mansun解散後にはもう自分がold schoolだと感じた」とインタビューで言ってる。だから(その他にもたくさん理由があったんだろうけど)自分が表舞台に立つことから離れ、長年ソロも出さずに来たんじゃないだろうか。ここに来てPaulが復活したからには、自分が復活する意味があるって考えるようになったという事なんだ多分。しかも英国内でライブをやるからにはその意味があると考えたからやるのだ。

うーん、なんかライブについては全て語り尽くしてしまった。バーミンガム編どーするの?ってところですが、実はブリストル、バーミンガムにはライブ後のエピソードもある。バーミンガム編に続く!


■The Silence Is Deafening
■Don’t You Wait, It Might Never Come
■No Ideas
■Feeling My Heart Run Slow
■Things People Want
■Disgusting(Mansun song)
■Friends Make the Worst Enemies
■Grey House
■Who’s Wearing the Trousers
■I Can Only Disappoint U(Mansun song)
Encore:
■Wide Open Space(Mansun song)
■Don’t Poke the Bear

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コメント

  1. よしちゃん より:

    さくらさんついにPaulに触った・:*+.\(( °ω° ))/.:+
    意外とそこがライブレビューのハイライトでしょうかねwww

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